『英語の苦手を克服しよう』
おそらくこれを読む方々は、全員が日本で生活し、そのほとんどがずっと日本で生きていく方々なのではないかと思います。 ここは日本なのに、日本で生きていくのに、ただ「英語が苦手だった」というだけで自分の行きたい学校や将来の可能性を諦めなければならなくなる。これは悲劇以外の何物でもありません。
そこで今回は英語が特に苦手な方や、「なんとなくは読めるんだけど、、、」という方に向けて、基本中の基本、はじめの一歩の部分から始めて、後半にいくほどわりと得意な子でも気づきがありそうな内容に触れてみました。 どうぞ保護者様もご一緒に読んでいただいて、お子さまのつまずきをフォローしてくだされば幸いです。 これが何かしらの明るいヒントになればと願っております。
1.「文のカタチ」わかっていますか?
英語と日本語は「順番」が違う?
例えば
💡Tomは Maryを 愛しています。〈主語〉→〈目的語〉→〈述語〉
という日本語を英語にすると
💡Tom loves Mary.
〈主語〉→〈述語〉→〈目的語〉
となりますね。
そこで生徒に「日本語と英語の違いは?」と聞くと、「順番が違う!」なんて返ってくることが多いのですが、順番が違うことが本質的な違いなのではありません。
日本語の場合
その証拠に、例えば
💡Tomは 愛しています Maryを。〈主語〉→〈述語〉→〈目的語〉
という風に、日本語を英語風の語順にしてみても、意味は通じますし変わりもしません。
他にも
💡Maryを 愛しています Tomは。〈目的語〉→〈述語〉→〈主語〉
💡愛しています Tomは Maryを。 〈述語〉→〈主語〉→〈目的語〉
全部通じますね。日本語の語順は実に自由です。
英語の場合
でも英語だとそうはいきません。
試しに日本語と同じ「TomはMaryを愛している」という語順に変えるとどうでしょうか。
💡Tom Mary loves.
訳:????????
これは英語の文としては全く意味が通らないものになっています。
ではこうするとどうでしょう?
💡Mary loves Tom.
訳:MaryはTomを愛しています。
これは大変、Tom→Maryだったはずが、Mary→Tomのように、愛の方向が逆になってしまうのです。これでは意味が変わってしまいます。
どうしてこんなことが起こるのでしょう。
英語は「語順」で意味をつくる
日本語には「は」や「を」などの助詞、いわゆる「てにをは」があり、これが主語や目的語などの役割を作っています。だから日本語はどこにあっても何が主語で何が述語かわかります。それで語順の自由がきくのです。
しかし、英語には「てにをは」がありません。
だからこそ、英語は”ことばの並べ方”、語順で意味を作る必要がある。
これが日本語と英語の本質的な違いなのです。
主語には主語の場所、述語には述語の場所がある。
そういうルールで意味を作る。
そしてそのことばの順番のルールが“文のカタチ” なのです。
文のカタチをマスターしよう
だったらその並べ方を覚えてしまえばいい。
下に載せた“文のカタチ”一覧を例文で確認しながらをしっかり練習しましょう。
その前におさらい
英語の文は「be動詞の文」と「一般動詞の文」に分かれていましたね。
- be動詞 → be, am, is, are, was, were
- 一般動詞 →be動詞以外の全ての動詞
- 「be動詞の文」は主語の“ステータス(どんな様子か、何なのか)”を説明する文
- 「一般動詞の文」は主語の"動作(何をするのか)”を表す文
下に載せた“文のカタチ”一覧をつかって例えば
「彼は親切です。」なら
「これは主語がどんな人かの話だからBe動詞の文で、
普通の文だから肯定文、カタチは“ S Vbe ー ” だ。」
「それに単語を当てはめれば” He is kind. ”だ!」
「私は本を読みません」なら
「主語が何をするかの話だから一般動詞の文、
“
じゃない ” の文だから否定文で “ S do not V -.” 」
「そこに単語を当てはめて“I do not read books.” だ!」
とわかるようになればOKです。
☆be動詞の文のカタチ
Be動詞の文の例文
☆一般動詞の文のカタチ
一般動詞の文の例文
これらをしっかり練習すれば、中学英語の授業は途端に話がわかるようになりますよ。
2.英単語は避けて通れない
単語の覚え方は人それぞれ
「文のカタチ」がわかれば、あとはカタチに当てはめる単語を覚えるだけ!ですが、その単語を覚えるのがとても大変ですね。
単語の覚える方法は、人それぞれです。毎日少しずつ覚える、短期間で一気に集中、書いて覚える、見て覚える……どのタイプも正解です。
(何となくですが、一気にたくさん覚えちゃう方がいい気がします。単語だけやる日を作って、いっぺんに覚えちゃう。その方が効果を早く体感しやすいですし、頭に残る数も多い気がします。)
何でもいいからまず手を出すこと、そして完走するのが大切ですね。
意識しておくといいこと
以下のことは意識しておくといいでしょう。
💡☆イメージを持って覚える
英語ネイティヴは頭に絵を描きながら話します。だからあの語順なのです。日本語の語順では、最後まで主人公が何をしているかわかりませんよね。「昨日は夕方公園で太郎が花子のくれたプレゼントに〜」なんて話し始められたら、太郎のどんな姿を描いていいやら最後までわかりません。英語は主人公の絵が描けるような順番で話すのです。
絵を描くのだから英単語もできるだけイメージで覚えましょう。例えば「work」なら何かに取り組んでいるイメージ、「leave」なら何かを残して去るイメージ、というように頭の中にイメージを描きながら覚えるといいでしょう。
💡☆訳さなくなればゴール!(中〜上級者)
例えば学校で友達に「新しい洋服ゲットした!」って言われて
「ゲット、つまり【手に入れる】だな」
なんて考える人いませんよね。
それでもなぜか「get」と見ると【手に入れる】と"日本語に変換”したくなってしまう。
これが英語学習の足を引っ張る悪い癖です。ゲットはゲットでイメージできているのだから、ゲットのまま理解すればいいんです。
そしてこれが英単語のゴールです。これができないと長文は速く読めません。英語を英語のまま受け取ることができたら、その英単語は「使える」と考えましょう。
💡☆繰り返し触れる
人は忘れます。楽しいことは忘れないけど、そうでもないことは簡単に忘れます。
ただつまらないことでも覚えてしまう方法がある。それは「何回も出会う」ことです。
別に仲良くなくても、クラスメイトの名前は覚えてますよね?それと一緒です。
覚える=忘れない工夫をすることが単語を勉強するということです。そのためには出来るだけ多くの回数、継続的に触れ続けることが大切です。
(なんて言いながら、私は単調な作業が苦手なので、いわゆる英単語帳で一生懸命単語を覚えるみたいな作業はほとんどしたことがありません。ただたくさん英文を読んでいました。わからない単語も特に調べず英文の訳と見比べながらただただ読んでいました。そうしたら自然と単語を覚えていました。英単語帳に載っている意味ではなく英文の訳だけだったので、イメージ先行で覚えていたのも良かったなと思います。単語テストをこなさなきゃいけない中学生の現実と噛み合わないのでおすすめはしませんが、時間があるならやってみてもいいかもしれません。)
3.リスニングについて
近道はない
英検や入試などのリスニング問題には定番?のテクニックがあって、それをするかしないかで4択が2択になるくらいには答えの選びやすさが変わります。
しかし、それもある程度は「聞ける」ことが前提のテクニック。全くわからないとなると通用しません。
じゃあどうすれば聞けるのかというと、これは残念ながらテクニックはありません。何回も聞いて慣れるしかありません。ある意味直前での逆転が最も狙いにくい分野です。
英語はいつも前から理解すること
日本の英語の授業ではどうしても「日本語に直す」ことが求められるので、英文を読む時の目線が文の後ろから前に戻る傾向が強いです。これは日本人に「英語を日本語に直して理解する」という癖を植え付ける、悪習の最たる例と言えるでしょう。日本語の授業なので仕方ないんですけどね。英語は英語で理解してこその「英語ができる」です。
そしてこれがリスニングで内容に追いつけない理由でもあります。いちいち日本語に直す時間はありません。ですからこれは出来るだけすぐやめて、「前から理解して戻らない」癖をつけておきましょう。リスニングは訳すのを待ってもくれないし、後ろから前にしゃべってもくれませんからね。
例
💡He plays soccer in the park every day for the game.
訳 × 彼は試合のために毎日公園でサッカーをしている。
⚪︎彼はプレイするサッカーを公園で毎日試合のために
こんな風に「日本語に直す」のではなく「順番通りに"意味"をとる」のが大切です。
頭に浮かぶ映像が同じなら、きれいな日本語に直す必要はないのです。
これはリスニングだけじゃなく長文を読む時も、後ろから前に戻って日本語に直す、みたいなことをしていたらいつまで経っても速く読めるようにはなりません。
いろんな面で、英語を「前から理解する」習慣を身につけておくべきです。
ふだんから気をつけること
- 英語は文法問題でも長文でも正しく発音しながら取り組むこと。なぜなら話せる音はそのまま聞き取れる音になるからです。(必ず声に出そう!上手に発音することが恥ずかしい時代はもう終わりました。)
- ネイティヴが読む英文をマネしながら追いかけよう→シャドーイングといいます。これは本当に効果があります。
- ①Linkingや、②Flapping、③reductionなどアメリカ英語独特の発音に慣れる(③は上級者向け)
*①はHe is a boy.がヒーザボーイに聞こえるような、音がつながる現象。これが英語を聞き取れない最大の原因だと思います。ヒー、ザ、ボーイの3拍になるので、ヒー、イズ、ア、ボーイの4拍で構えていると聞き取れない。これはもともとつながった音を認識していないと厳しいです。ですからそのために自分で発音できるようになっておくことが大切です。
②はpartyがパーリィになるような、tが l+d の間のような音になる現象。
③はimportantがインポーゥンになるような、音が消えてしまう現象。
4.都立長文では指示語を追えればOK!
都立入試の英語は知っていれば簡単
問題の傍線があったら、必ず次の2つの作業をしましょう。
①まず傍線を含む文はすべて読む。
②だいたい指示語(them、they、that、it、so、such、………)やリアクション(wonderful!、Thank you、Yes, Oh really? ...…)があるので、それが指している文を追いかける
都立入試の問題はだいたいこのタイプです。解答の選択肢は文法や単語などで言い回しが変えています。あとは原因と結果を追うものくらいでしょう。
しかしこれらは英文が読めるのが前提です。
だからこそまずは文法と単語、頑張りましょう。
5.英作文について
文のつなげ方
英作文において、「何を書いていいかわからない」という声はよく聞きます。そこで。
実は英語だけでなく日本語含め、あらゆる言語には文のつながりをつくる基本があります。
それは「A→B」の次は「B→C」、その次は「C→D」...のように旧情報 →新情報の流れを繰り返していくことです。
I like Taro.
とまず言ったら、次はTaroについて語る。
Taro is very kind.
そしたら今度kindの内容について語る。
Yesterday, he helped me with my homework .
その次は?そうです、homeworkについて語ります。
It was very difficult,but finally I finished it with his help.
こんな感じで繋げていくと、比較的詰まらずに書けるかなと思います。
英検の高めの級だと、最後に「そのエピソードからわかること、学んだこと、感じたこと」などで終わるのも大切になってきますね。
「言い方」をストックしておこう
都立入試の作文は例年たった3行書ければ12点もらえます。これをモノにしない手はありません。そのための準備として「言い方」をストックしておくことをオススメします。以下その例です。
1文目(出だし)
💡*予定やしたいことを聞かれた時*
I want to V 〇○ .
→私は(〇〇を)Vしたいです。
I’m going to V 〇○ .
→私は(〇〇を)Vすることになっています。
💡*何かの紹介するとき*
○○ is very △△.
→〇〇はとても△△です。
💡*興味があることを聞かれた時*
I am interested in 〇〇. →私は〇〇に興味があります。
💡*何かについて考えを聞かれた時*
I think it important for us to V ------.
→私は私たちが V するのが大切だと思う。
2文目(理由や説明)
*文法に詳しくない方はbecauseは使わない方がいいです。
💡Doing so, S will V.
→そうすることによって、SはVするから!
〇〇 is ______.
→ 〇〇は______だから!
〇〇 has _______.
→ 〇〇には______があるから!
3文目(感想など)
💡I’m sure you will like 〇〇.
→あなたはきっと〇〇を気にいると思う!
I hope S will V ---- someday.
→いつかSがV----といいな!
I hope to V ----- someday.
→いつかV---できたらいいな!
*英語にするのに困ったら
「誰が」「何する」(「何を」)で考えよう!
例えば
💡「私の大好物は甘いものです。」
をそのまま英語にしようとするとちょっと悩みますが「誰が」「何する」「何を」で考えると
💡「私(が)」「好む」「甘いもの(を)」で
💡I like sweets.
大好物だから「とっても(very much)」を足して
💡I like sweets very much.
といった感じで簡単な英語で表現できます。
6.おわりに
もともとは勉強法というお題でしたが、本当に苦手な方はそれを聞いてもどうしていいかわからないかなと思って、内容まで少し触れて練習法?にしました。
もちろんこれはほんの一部です。わからないことは学校の先生や塾の先生に積極的に聞きましょう。
疑問が出てきたら、それは成長している証ですよ。
まだ夏前です!頑張ってください!