【連載コラム】受験に効く心理学 File.2

人間は必ず目的があって行動する
―受験勉強のモチベーションを保つためには―

心理セラピスト あべ なおこ

みなさん、受験を決めた時のことを思い出してみてください。それはいつでしたか?

どうして中学受験をすることにしたのでしょうか。あるいはどうして中学受験をしないで公立中学に進学し、高校入学時に受験することを選んだのでしょうか。

「目標」と「目的」の違い

【目標】という言葉にどんなイメージを持ちますか?
辞書によると"目じるし"、転じて "行動などの対象となる目当て、ねらい、まと"
"抽象的用法では、究極目的に対し、そこに至るためのものをいうことが多い"とありました。

【目標】という言葉の説明の中に【究極目的】と比較する部分があったので、これについても調べてみました。

【目的】
得ようとしてねらうもの。到達したい状態として意図し、行動を方向づけるもの。

【究極】
物事を押し詰めて行って、最後に達するところ。とどのつまり。

【とどのつまり】
結局のところ。
[とど]ボラの成長したもの。結局は落ち着くところ。ボラは幼魚から成魚になるにつれ、いろいろな名で呼ばれるが、最後に[とど]と呼ばれることから「とどのつまり」とも。

このように1つの言葉を調べると芋づる式に調べたくなるので辞書は面白いですし、いくつかの言葉を紐づけて憶えられるところがいいですね。

さて、話を戻します。
目標】と【目的】という2つの言葉を比較してみて、いかがですか?
受験に挑むときは、目標よりも【目的】を意識する方が有効だと思いませんか?
なぜなら、人間は目的なしに行動することはない、つまり人間の行動には必ず【目的】がある、と心理学の世界では考えられているのからです。

心理学の考え方 人間は【目的】なしに行動することはない
人間の行動には必ず【目的】がある
日常の中の「目的」

身近な例でみていきましょう。
受験のような人生における節目だけでなく、日常生活においても実は【目的】を持って行動しているんですよ。

私でいえば、仕事に間に合うように朝5時半に起床するため、なるべく10時半までには寝るようにしています。家族に喜んで欲しくて手の込んだ料理を作ることもあります。

例えばみなさんなら、忘れ物をしないように前もって支度をするとか、欲しいものを買いたいからお小遣いを残しておくとか。

こんな時にみなさんはそれに向けて頑張れますよね。だとすると、受験に向かう時も【目的】がはっきりしていれば、それに向けて頑張れるということです。

【目標】は皆さんにとっての志望校だとしたら、そこに決めた理由は何ですか?
多分その理由がみなさんの【目的】に当たるのでしょう。

どんなことでもいいでしょう。文化祭が盛り上がってすごく楽しそうだったから、英語が好きだから、英語に力を入れているこの学校がいい、やりたい部活の活動が盛んで強いから、など。

またやりたい仕事が決まっているのであれば、そのためにどんな勉強が必要なのかを逆算して考えてみてはどうでしょう。 もしかしたら大学より、専門学校の方が自分の道にはむしろ合っているのかもしれないなど、よりよい軌道修正につながるかもしれません。

こんなふうに【目的】を軸に掘り下げるといくと様々なことが明確になります。 【目的】は、小さくても大きくてもいいと思うし、途中で変えてもいいでしょう。 【目的】がぼんやりしていては、力が湧いてきません。行動にもつながりません。 自分で決めたものを1つ持つといいですね。

内発的動機と外発的動機

【目的】がみなさんにとっての"内発的動機"になります。 分かりやすく言うと、皆さんの心の中の種火のようなものです。

これに対して、お父さんやお母さんから"勉強しなさい"とか"こういう学校に行って欲しい"という期待を"外発的動機"といい、外から加えられる力のことをいいます。

どちらがより強い消えない原動力になると思いますか?

間違いなく"内発的動機"が強い原動力になる。
なぜなら
"自分で決めた"から。

もしもお父さんやお母さん、塾の先生に薦めてもらった、提案してもらった学校だとしても、そこに自分なりの【目的】を見つけてみてください。 それが受験勉強のモチベーションを保つ種火になります。

決めたら、紙に書いて部屋のどこかに貼っておきましょう。
書くのは、「勉強頑張る!」とか「○○受かるぞ!」じゃないですよ。

あなたの【目的】、「なんのために!」です。

あべ なおこ
心理セラピスト あべ なおこ

キャリアコンサルタント 塾指定保護者カウンセラー
子どもの不登校をきっかけに、一念発起してアドラー心理学を学びながら、大学の心理学科へ入学。理論に基づいた関わりによって、親子関係が大きく改善した。現在、親子関係や不登校をテーマにした講座、講演活動に加え、カウンセラーとしても活躍中。