【連載】我が家の中学高校受験体験記 No.7

 中学受験や高校受験は、子どもたち本人だけでなく、保護者や家庭全体が向き合う大きなイベントです。
 RESMOでは「我が家の中学高校受験体験記」と称して、よくある合格のノウハウではなく、保護者として、家族 としてどう向き合ってきたかを受験経験者の皆様にお伺いして連載します。受験が初めての方もそうでない方も、志望校の難易度に関わらず、大変参考になる体験談を集めました!保護者必見です!

 

体験記No.7

【投稿名】

M.I.さん

【受験分類】

私立高校受験

【受験学校名】

都立工芸高等学校


【志望高校を決めるまでの経緯と決めた理由】

 知り合いのお子さんが通っていたことがきっかけで、この高校の存在を知りました。

 お話を聞いたときから、直感で我が子に合っているのではないかと思っていました。

 実際に中学1年生の時から毎年、説明会や体験授業に参加し、学校の雰囲気や教育方針に触れてきました。

 他の高校の説明会にも参加しましたが、本人がこの学校以外にはあまり興味を示さず、親としても、設備の充実度や教育環境の面から見て、この学校が最も我が子らしく生き生きと過ごせる場だと感じ、志望校として決めました

 


【受験期間に感じたこと】

 「やる気スイッチがいつ入るのか…」と心配していましたが、中学3年になり、高校説明会や進学フェアで複数の高校ブースを回り、実際に先生方から受験時に加点となる試験内容や内申点などの具体的な数字を聞いたことで、本人のやる気に火がついたようでした。

 それ以降は塾の自習室を積極的に利用し、夜遅くまで勉強に取り組む姿に私たちも驚かされました。

 早い段階で志望校を決められたことに加え、念のために私立高校の併願優遇制度についても調べ、第二希望を具体的に検討したことで、必要な資格取得に向けて努力するようにもなりました。

 志望校合格に向けて、何をどの程度頑張ればいいのかが明確になったことで、本人自身が自発的に動き始めたのだと思います。

 


【いま当時に戻るなら】

 本人の希望で大丈夫だよ、と当時も伝えていましたが、今あらためて過去に戻れるとしたら、「その想いのまま進んで大丈夫。きっと大丈夫だよ」と、もう一度しっかりと伝えてあげたいです。

 


【受験して良かった点、悪かった点】

 これまでにないほどの努力を本人が見せてくれたことが、受験を通して一番良かった点です。

 合格後の手続きを進めながら、第一希望の学校へ進学できることが、私たち親にとっても願っていた道だったのだとあらためて実感しました。さまざまな書類の作成や費用の準備なども、喜びを感じながら取り組むことができました。

 都立の推薦入試で合格できたのは、やはり本人の努力の積み重ねがあったからだと思っています。倍率が3倍以上だったため、気を抜かずに一般入試に向けた勉強も続けていた点もよかったと思います。

 作文の準備では、学校の先生からのアドバイスに影響されすぎてしまいそうな場面もありましたが、本人が相談してくれたことで、一緒に考えながら「自分の言葉」で書き上げることができました。その経験が、面接の練習にもつながり、当日の朝まで回答の練習と修正を一緒に行えたことが、本番に良い影響を与えたと感じています。

「ここまでできていれば大丈夫」と親子で感じ合えることが、本番での安心感にもつながったのだと思います。

 また、志望校の合格ラインを早めに確認していたことで、模試の結果(V模擬など)を通じて、親としても「このままなら大丈夫」と見通しをもって見守れた点も大きかったと感じています。

 特に大きな後悔はありませんが、あえて挙げるとすれば、第二希望の私立高校の見学会の日程が少しタイトになったことで、「もう少し余裕を持ってスケジュールを組めばよかったかな」と思う場面がありました。ただ、最終的には見学に行かなくても問題なかったと感じるほど、第一志望校への気持ちは確かなものでした。

 


【受験にかかる費用について】

 本格的に塾に通い始めたのは中学に入ってからで、1~2年次は数学のみ、3年から3教科の通塾だったため、他のご家庭よりは費用は抑えめだったと思います。私立受験はせず都立推薦で合格できたので、受験費用は都立の受験料だけで済み、経済的な負担を抑えることができました。

 


【入学後の費用感】

 都立高校ですが、入学時の制服や体育着、上履き等の初期費用が中学校より大幅に高く感じました。私立高校よりは大分少ないと思いますが、高校の入学手続きでご一緒したお母さん方も、『支払額が...。』と話されていました。

 


【これから受験を迎える保護者(または生徒)へメッセージ】

 まずは、お子さんの意志を丁寧に聴くことが大切だと感じています。

 お子さん自身が真剣に考え、取り組んでいることを受け止め、尊重してあげることが重要だったと思っています。また、本人がクラスメイトの学習状況や成績を知ることで、良い刺激を受けていたとも思います。

 高校説明会に一緒に参加し、お子さんがどのような印象を持ったか、その感想に寄り添うことで、お子さんのやる気や本音を引き出せるきっかけになるのではないかと思います。

 受験期の後半になると、中学校での進路指導や説明会などで、お子さんは想像以上に状況を把握していることもあります。私は「もっと信頼して見守っても大丈夫なんだ」と気づきました。

 保護者自身の学生時代の経験を重ね合わせすぎず、「これは子ども自身の成長の過程なんだ」という気持ちで接したことで、親としての受け入れる心の余裕も生まれたように感じます。

 子どもを信じ、時には見守る姿勢も大切だということをまさに経験する期間でした。

 

(おわり)


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