【連載】不登校的ライフスタイル中学生のためのライフプランニング④〜進路選択〜
このシリーズは、現在それぞれの事情で不登校というライフスタイルを選択している中学生を対象に、これから先の未来をどのように考えていけばいいのかを連載でやさしく語っていただきます。
第4回は『不登校というライフスタイル』の方々の中学校卒業時の進路選択を語っていただきました。
第4回 進路選択
中学卒業時の進路選択
『不登校』と言っても、お一人お一人のおかれた状況や身体症状等はみなさん異なっていますので、ひとくくりに一般論を言うのは難しいですが、下記の様な前提で選択肢を考えていきます。
① 実際に欠席日数がある程度以上多い状況にある
② 評定が低い(1や/も含まれる)
③ 卒業時点で心身のコンディションがどうなっているかわからない
④ 卒業をめざし、高校へ進学をする
→知的障がいを伴う等の理由で、特別支援教育を選択する例は、ここでは含みません、そうしたケースには個々のご相談にのります。また、あえて高校に行かないという選択肢もあることは付け加えておきます。
高校進学のタイミングは、ここまでお話ししてきたライフプランニングの中で『ふつう』の側の流れにアプローチする選択には絶好のタイミングになります。様々なタイプの中から自分に最も合っていると思われるシステムの高校を見つけていかれると良いと思います。
もちろん、どの選択をしたとしても上手く適応できるかどうかは、やってみなければわからない部分はありますので、とりあえずやってみるという選択もあり得ます。
大事なことはあなた自身にやってみようという意思があるかないかですので、気が進まないけれど周りに言われたから、かなりの無理をして、というのはあまりお勧めできません。ただし、少しの無理だったら、してみる価値はあると思います。
通学型の高等学校における『出席』の意味
小中学校では出席状況などに関係なく学校に在籍して、定められた年齢に達すれば卒業することが認められます。ところが、高等学校で進級したり、卒業したりするためには一定の条件を満たさなければなりません。日々の授業を受けて『単位』を重ねて、定められた『単位』数をとることによって卒業することが出来るという仕組みです。
『単位』をとるとは、基本的には週当たり1時間の授業を1年間受講し、その成果が認められれば『1単位』として認められ、3年間以上在籍して学校が定めた『単位』数を修得すると卒業が認められるという仕組みです。
単位修得が認められるためには2つの段階があります。
1つ目が、その授業に決められた時数以上出席することで、(どのくらい出席しなければならないかの規定は学校毎に定められていますが、文部科学省の定めでは欠席が1/3を超えないということですので、最低限度として行われた授業のうち2/3以上は出席しなければなりません。)そのうえで、2つ目はその授業について5段階評価で2以上の評定を得て合格すると『単位』を『修得』したということになるわけです。
つまり、通学型の学校においては、日々の授業に出席することができることが大前提となるわけです。
こうしたしくみを踏まえて、みなさんが通学型の高校への進学を選択するためには、高校進学を機に『日々コンスタントに通学するライフスタイル』へ切り替えることが大前提になります。やってみないとわからない部分は当然ありますが、ご自分の強い意志を持っていただくことと、出来るだけ自分に合った学校を見つけていくことが、上手くやっていくには必要です。
もちろん、簡単な決断ではないとは思いますが、十分やってみる価値のあるチャレンジだと思います。その上で、やってみてどうしても上手くいかなかった場合には、違う方法にシフトチェンジしていけばよいということになります。
それでは、どんな選択肢があるのかを見て行きましょう。
学校の種類
<都立高校全日制>
あなたが『不登校的ライフスタイル』の経験者であることは、入学後実質的にはほとんど考慮されることはありません。そういう意味でライフスタイルを切り替える前提の選択となります。
入学選抜にあたっては、欠席日数等は判定の材料にはなりません。調査書点はあくまでも中学校3年生2学期(2学期制の場合には前期の)の評定点の換算点となりますので、欠席や遅刻、その他中学時代の実績等は関係ありません。(なお、「推薦」のケースはここでは取上げません。)
しかも、学力検査7:調査書点3の総合点が判定基準の基本なので、中学校の評定が低くても、ある程度は学力検査での挽回が可能です。調査書点が低くて倍率が高めの高校層を受検される場合には、ご自分の偏差値学力の水準より何段階か合格者の総合点の実績が低い高校を選択する必要がありますが、倍率が低めの高校の場合には、学力検査の準備さえ十分に出来れば挽回も可能ということです。
また、最近では授業料無償化や通信制高校の台頭の影響で倍率を満たすことが出来ずに、2次募集や3次募集を行う高校もありますので、最終的に都立高校全日制の中で籍を確保することは可能と言えます。
<私立高校全日制>
都立と同様ライフスタイルを切り替えることが前提となります。入試にあたっては、都立高と違って学校によって対応が違っています。まずは入学試験の要項にある出願資格を確認してみる必要があります。
出願資格としては、中学校での成績や出席状況について触れられていることが多く、成績については『1』が無いことという記載が多くみられます。出席状況については、表現は様々で、具体的な日数がかかれている場合と例えば「出席状況が良好であること」などと表現されていることがあります。「出席状況が良好」というのは病気やけがなど明確な理由がある場合以外の欠席がないという意味であると考えられます。
こうした各学校の定めている出願資格にご自分が該当するかどうかを確かめた上で、判断がつきにくい場合には各学校に問い合わせて確認されると良いと思います。また、出願資格との関係が微妙なケースなどでは、あなたの状況にもよりますが、各校に直接相談してみる他、塾の先生と高校の先生のつながりがあって事情を理解していただき受け入れてもらうという様なこともあり得なくはないと思います。当然そのケースでは学校が限定されます。
<チャレンジスクール(都立)>
『不登校ライフスタイル』経験者を主な対象として設置された都立高校がチャレンジスクールで、昼夜間定時制(3部制)/総合学科/単位制の学校で都内に7校あります。全日制の高校と比べると、切り替えがしやすい仕組みであると言えます。
『不登校ライフスタイル』経験者に配慮されていると考えられるところは、
① 定時制課程なので一日4時間が原則で午前・午後・夜間の中から時間帯も選択できて通いやすい点
→他部履修という仕組みを使って3年でも卒業できます
② 総合学科の良さをいかした多様な選択科目を比較的少人数のクラスで学ぶことが出来る点
→中学校までの学習の積み重ねを前提としない科目も多くあります
③ 単位制なのである程度ゆっくり時間をかけて卒業を目指すことが出来る点
④ 社会性やコミュニケーション力を高めるための授業が組み込まれている点
⑤ 他の都立高よりカウンセラーの配置等相談体制がより充実している点
等があります。
入学選抜において調査書は不要ですので、中学校での欠席数や評定は直接的には入学選抜には影響しません。ただし、「これまでよりもこれから」を大事にする学校なので、あくまでも入学後は日々通学するつもりがあることが前提となります。この辺りは面接等で確認されることになります。チャレンジスクールは7校ありますが、系列や選択科目の違いだけではなく、これまでの学校の流れで生まれた各校の姿勢の違いがかなり明確にあります。地域性に囚われず、自分の現在の状況を踏まえ、それぞれの学校の基本姿勢をよく理解した上で、自分に最も合っていて通いやすい雰囲気の学校を選ばれることをお勧めします。
<昼夜間定時制(都立)>
「自分のライフスタイルや学習ペースに合わせて学べる」としているのが昼夜間定時制で定時制・単位制の利点はチャレンジと同様ですがあくまでも普通科高校ですので、中学校からの積み重ねの延長線上の授業が中心になります。
ただし、単位制の利点を生かして、総合学科に近いような選択科目もある程度は用意されています。通常の全日制型の学校スタイルや大きな集団による学習、画一的な生活指導等に合わせにくい方々が利用しやすい高校と言えますが、夜間定時制と比べるとやや規模が大きくなります。
なお、入選は調査書点、学力検査および面接(学校によっては小論文等も)で実施され、総合点で合否が判定されます。
★ チャレンジや昼夜間定時制では学校ごとに学校外の学修成果の単位認定、通信制課程との併修等多様な学び方が用意されていることがあるので確認してみましょう。
<夜間定時制(都立)>
普通科/専門学科/総合学科、学年制/単位制、等様々な種類がありますが、いずれも規模が小さく、少人数でアットホームな雰囲気で学ぶことが出来ます。
ただし、時間帯として一般の人々と異なる動きとなりますので、意思をもって生活リズムを整えて通学しなければなりません。
また、文化的にも年齢的にも多様な生徒さんが共に学ぶ場でもあります。1日4時間で4年間での卒業が原則になります。入選のハードルはあまり高くはありません。
(第5回〜通信制という学びの選択〜に続く)
◎著者紹介
宮川隆史 (ミヤカワ タカシ) 先生
・元都立高校校長・元上海日本人学校高等部校長
・現在は都立学校副校長マネジメント支援員、通信制高校非常勤講師
・社会科から家庭科に転科し、ジェンダー問題がもう一つのライフワーク
・ボランティアで中学生の進学相談員を15年以上続けている
・世田谷泉高等学校の立ち上げに関わったほか、教員として、管理職として、また親としても不登校事例に対応してきた