【連載】不登校的ライフスタイル中学生のためのライフプランニング①〜ライフプランニングってなに?〜
このシリーズは、現在それぞれの事情で不登校というライフスタイルを選択している中学生を対象に、これから先の未来をどのように考えていけばいいのかを連載でやさしく語っていただきます。
今回は第1回。“ライフプランニング”とは何をすることなのかを語っていただきました。
第1回 “ライフプランニング”って何?
みなさんは現在、「子ども」として保護者と呼ばれるどなたかに「生活的に」「経済的に」「社会的に」「精神的に」護(まも)られて暮らしていますよね。
早く「おとな」になりたいと思っていますか、まったく思っていませんか、これも人それぞれだと思います。
「おとな」になっていくためには、「子ども」として護られている現状の中で、生活的課題、経済的課題、社会的課題、精神的課題となっている様々な点を一つ一つクリアして『自立』に近づいていく必要があります。
自分を見つめる
いつまでに『自立』しなければならないという決まりがあるわけではありませんし、これも人それぞれですが、一般的にはいつまでも「子ども」のままでいるわけにもいかず、後でも述べますが、みなさん位の年代は、そろそろ『自立』に向けてスタートをきらなければならない時期に来ていると言えるわけです。
そして、『自立』を目指していく出発点は「自分を見つめる」ということで、自分を見つめて、自分の『自立』への課題となっていることに気づくことが必要になります。もちろん、『自立』への課題は一つや二つではなく、多岐にわたりますし、難易もいろいろで、複雑に絡み合っている場合もあって、とても一筋縄でいくものではありません。
<不登校というライフスタイル>を選択されているみなさんの場合には、これらの課題の中でとりわけ「社会的自立」への課題克服が厄介なものになっていくと思われます。また、中には「精神的自立」への課題の方が難題になる方もいらっしゃるかと思います。
でも、いずれの場合であっても、先ずは課題に気づくことが出発点になります。
「・・大人の階段のぼる、君はまだシンデレラさ・・」、みなさんの年代でも聴いたことがあるのではないでしょうか、『想い出がいっぱい』というスタンダードナンバーの一節です。
「・・幸福は誰かがきっと、運んでくれると信じてるね・・」と続き、夢見ているのは素敵だけれど、実際には人任せでは幸福に近づけないのでは、というようなことをたぶん唄っています。この様に「おとな」の階段をのぼり「幸福」を追求していくのは結局はあなた自身で、あなた自身がやっていかなければならないことなのです。
ただし、人には誰でも得手不得手はあるもので、自分自身で出来るというのは、必ずしも自身で0から100まで全部やれるという意味ではなく、私たちの周りにいる他者や様々な資源も活用して(うまくヒトやモノの手も借りて)自分でやっていくことが出来るようになっていくということです。
また、大人検定試験の様なものがあるわけではないので、『自立』出来たか出来ないかを客観的に判定することが出来ないのも事実なのです。
この様に「おとな」の階段を徐々にのぼりながら、あるいはのぼりきったとしても、人生の中ではいくつもの岐路があります。その度にみなさんは、自分自身で考え、選択して、自分の人生を創っていかなければなりません。
生活者として、消費者として、これからの人生を見据えて考えていくことを人生設計=“ライフプランニング”といいます。
もちろん、今の時点で考えたことがすべてそのまま実現されていかなければならないというようなことでないことは言うまでもありません。段階を踏みながら、修正を加えながら、あなたは自身の人生を築き上げていくことになります。
さあ、みなさんおひとりおひとりのライフプランニングについて自分自身の責任で考えてみましょう。
(【第2回】〜今のあなた~自分を見つめる~自分を受け容れる〜に続く)
◎著者紹介
宮川隆史 (ミヤカワ タカシ) 先生
・元都立高校校長・元上海日本人学校高等部校長
・現在は都立学校副校長マネジメント支援員、通信制高校非常勤講師
・社会科から家庭科に転科し、ジェンダー問題がもう一つのライフワーク
・ボランティアで中学生の進学相談員を15年以上続けている
・世田谷泉高等学校の立ち上げに関わったほか、教員として、管理職として、また親としても不登校事例に対応してきた