【連載】不登校的ライフスタイル中学生のためのライフプランニング②〜今のあなた~自分を見つめる~自分を受け容れる〜

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都立高校校長を退職後、現在は学校運営に携わる傍らボランティアとして主に不登校の生徒の進路相談員としても活動している宮川隆史(ミヤカワタカシ)先生。
このシリーズは、現在それぞれの事情で不登校というライフスタイルを選択している中学生を対象に、これから先の未来をどのように考えていけばいいのかを連載でやさしく語っていただきます。
第2回は自分を見つめて受け容れることの大切さを語っていただきました。

 

第2回 今のあなた~自分を見つめる~自分を受け容れる

自分を見つめることの難しさ

 

 「子ども」から「おとな」への発達段階の真只中にいる現在のあなたは、「思春期」とか「青年期」と呼ばれる、非常にややこしい時期を過ごしています。

 

 おひとりおひとり、感じ方も考え方もみんな違うので、非常にいろいろなことがいちいち気になってしまい考え込んでしまったり、悩んでしまう質の方々もいらっしゃれば、あまりそういうことを感じることなく、考えることもなく、日々をただただ楽しく過ごしている方々まで、まさに人それぞれです。

 

 どちらが正しいわけでも間違っているわけでもなく、どういう自分であっても、それがあなた自身であって、他者と比べて自分を値踏みするような必要は必ずしもありません。というような事はおそらく多くの方々は頭では理解されているのだと思いますが、実際には周りの人々や自分自身が、他者と比べたり、「ふつう」と比べたりしてしまいがちです。

 

 そして、そういう比較をもとに自分自身を見ることによって、自分のある部分が嫌になったり、自分自身全てを嫌いになってしまったりすることもあります。また、自分を好きになる分には問題がないように思えますが、それも度が過ぎると他者へのリスペクトを欠くことになってしまうようなことにもなりかねません。

 


受け容れること

 

 正反対の考え方のようになりますが、他者との比較で自分自身を振り返り、自分の強みや弱みを確認していくということは、自分自身を知るためには実はとても有効なやり方でもあります。

 

 上で「値踏み」という表現を使ったように、比較した結果で人の価値を判断するようなことはしないで、結果を結果として見てみるということです。そして、出来ることや出来ないことが色々ある自分自身のあるがまま」を先ずは受け容れることが大切であるということになると思います。

 


誰かの助けを借りることも

 

 持って生まれた様々な違いや、これまで育ってきた環境の違いなど、様々なことの影響を受けて、だれでもが、得意/不得意、好き/嫌い、処理スピードの違いなどの特性を持っていますが、よくよく考えてみると「出来ないこと・わからないこと」の多くは、経験不足が原因になっていることが多いのではないでしょうか。それらのことは、経験を積み重ね、失敗を積み重ね、トレーニングを続けることによって「出来ること」に変わっていくことも多く、さらに「得意なこと」に昇華される可能性もあります。

 

 そうは言っても、出来ないことはやりたくないという気持ちはとても自然でよくわかります。でも、少し気持ちを変えて、あるいはやり方を変えて取組んでみると意外に少しづつ出来るようになることもあります。もちろん、それでもどうしても出来ないことだってあります。そういう場合には、それを嘆くのではなくて、遠慮なく誰かの力を借りれば良いのですそういう自分を嫌いにならないで、受け容れて、助けを借りることが出来るようになれば良いだけのことなのです。出来ないことは決してダメなことなんかではありません。

 

 さらに、青年期と呼ばれるみなさんの年代では、「あれもしたい、これもしたい」という欲張った思いや「やりたいけれど、同時にやりたくない」という様な相反する感情で思い悩んでしまうことも多くあります。

 

 こうした、とても不安定な心の状態と付き合いながら、みなさんはそろそろ人生最初の選択をしなければなりません。中学卒業後どうするのか、自分自身の責任で決めていかなければならないのです。

 

 さあ、今の自分のありのままを受け容れ将来を見据えて、そういう自分に最も合っている次のステップを見つけていきましょう

 

第3回〜将来を見据える〜に続く)

 


◎著者紹介

宮川隆史 (ミヤカワ タカシ) 先生

元都立高校校長・元上海日本人学校高等部校長

・現在は都立学校副校長マネジメント支援員、通信制高校非常勤講師

・社会科から家庭科に転科し、ジェンダー問題がもう一つのライフワーク

・ボランティアで中学生の進学相談員を15年以上続けている

・世田谷泉高等学校の立ち上げに関わったほか、教員として、管理職として、また親としても不登校事例に対応してきた